介護・看護現場を支える お役立ち情報

2026-08-26

第3回|介護職の給料は本当に安い?最新調査から見る給与・賞与のリアル

第3回|介護職の給料は本当に安い?最新調査から見る給与・賞与のリアル

第3回|介護職の給料は本当に安い?最新調査から見る給与・賞与のリアル

こんにちは。
医療・福祉のお仕事相談所の鈴木です。

全5回でお届けしている、令和7年度「介護労働実態調査」から見る介護業界シリーズ。

第1回では「介護業界の人手不足」、第2回では「介護職が辞める理由」について見てきました。

そして第3回のテーマは……

やっぱり気になる「お給料」の話です。

介護の仕事について、

「介護って給料が安いよね」

「仕事の大変さに給料が見合っていない」

そんな話を聞いたことがある方は多いと思います。

私も介護職として現場で働いていた経験がありますし、その後10年以上、介護・福祉業界を中心に転職のお手伝いをしてきました。

求職者さんからも、

「今より給料を上げたいです」

「夜勤をやっている割には給料が……」

「介護福祉士を取ったけど、あまり給料が変わらなくて」

といった相談は、やはり多くいただきます。

では実際のところ、

今の介護職はいくらくらいもらっているのでしょうか?

今回は令和7年度「介護労働実態調査」の数字を見ながら、私すずきなりに考えてみたいと思います。


月給で働く人の平均月収は「254,951円」

まず今回の調査で、月給で働く労働者の通常月の平均月収を見ると、

254,951円

となっています。

前年度と比較すると、

+5,976円、2.4%増

です。

しかも平均月収は、これで6年連続の増加となりました。

さらに、月給者のうち介護職員に絞って見ると、

平均月収は242,884円

となっています。

こちらも前年度から2.6%増加しています。

まずこの数字を見て、私が思うのは、

「介護職の給与も、少しずつではあるけれど確実に上がってきている」

ということです。

昔の介護業界の給与水準を知っている方からすると、実感がある方もいるのではないでしょうか。


ただし「平均25万円=みんな25万円」ではありません

ここは最初に注意しておきたいところです。

平均月収が254,951円だからといって、

「介護業界に入れば月25万円くらいもらえる」

という意味ではありません。

これは調査対象となった月給制の労働者全体の平均です。

職種によっても違いますし、資格、経験年数、役職、夜勤回数、各種手当などによって実際の給与はかなり変わります。

さらに地域差もあります。

私が普段、静岡県西部を中心に求人を見ていても、

同じ「介護職」という求人でも、

「こんなに違うの?」

と思うくらい給与条件に差があります。

ですから転職活動をするときは、

「介護職の平均はいくら?」

だけを見るのではなく、

「自分の資格・経験・働き方なら、いくらくらいになるのか?」

を見ることが大切です。


給与は上がっている。それでも人材不足は続いている

ここが今回の調査で面白いところだと思います。

前回までの記事でお伝えした通り、介護事業所の65.8%が従業員不足を感じています。

一方で、今回見ているように給与は上昇しています。

つまり、

「給料を上げれば、それだけで人手不足が解決する」

というほど単純ではないんですよね。

実際、今回の調査で事業所に「人材確保のために取り組んでいること」を聞いたところ、**「賃金水準の向上」**は重要な取り組みの一つとして挙げられています。

そして採用面で最も効果があった方策も、

「賃金水準の向上」38.4%

でした。

やっぱり、採用するうえで給与は重要なんです。

これは私も日々の求人活動をしていて感じます。

同じ地域、同じような仕事内容なら、

時給1,100円と1,300円。
月給20万円と25万円。

求職者さんがどちらに興味を持ちやすいかは、ある程度想像できますよね。

でも、問題はその先です。


「入職する理由」と「辞めない理由」は同じとは限らない

私はここが、介護職の採用を考えるうえで非常に重要だと思っています。

今回の調査では、採用に効果があった方策として、

「賃金水準の向上」38.4%

が最も高くなっています。

ところが、職員の定着に効果があった方策を見ると、一番高いのは、

「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」57.9%

です。

つまり、

入職してもらうには「給料」が強い。

でも、

長く働いてもらうためには「働きやすさ」も非常に大切。

そんな結果にも見えます。

これは前回の記事で取り上げた「退職理由」ともつながっています。

直前の介護関係の仕事を辞めた理由では、

「職場の人間関係に問題があったため」27.3%

が最も高く、

「収入が少なかったため」15.7%

を上回っていました。

給与はもちろん大切。

でも、

給与だけでは人は定着しない。

私は今回の調査を見て、改めてそう感じました。


では「賞与」はどのくらい?

月給だけではなく、賞与も気になりますよね。

今回の調査では、労働者に対して過去1年間の賞与の有無も調べています。

月給で働く人では、

「賞与あり」75.5%

でした。

一方で、

「賞与なし」18.6%

となっています。

つまり、月給制で働いている人の約4人に3人が、過去1年間に賞与を受け取っているという結果です。

ただし、ここも注意が必要です。

「賞与あり=必ず○か月分もらえる」

という意味ではありません。

賞与額や算定方法は法人によってかなり違います。

求人を見ていると、

「賞与年2回」

と書いてあるだけで、なんとなく安心してしまう方もいます。

でも私としては、

「何回出るか」だけではなく「実績として何か月分なのか」まで確認してほしい

と思っています。


「基本給」がいくらなのかも確認してほしい

ここは転職相談をしている立場から、ぜひお伝えしたいところです。

求人票を見ると、

月給230,000円~

と大きく書いてあることがあります。

でも中身を見ると、

基本給
資格手当
処遇改善手当
夜勤手当
その他の手当

など、いろいろなものが含まれている場合があります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

ただ、

「月給だけを見て比較しない」

ことは大切です。

たとえば賞与が「基本給○か月分」という法人であれば、基本給の金額によって賞与額も変わります。

また、

「月給が高いと思ったら夜勤5回分が含まれていた」

「資格手当込みの金額だった」

ということもあります。

ですから私は求職者さんに求人をご案内するとき、

月給だけではなく、その内訳まで見る

ようにしています。


夜勤手当も求人によってかなり違います

介護職の給与を考えるうえで、もう一つ大きいのが夜勤手当です。

特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど、夜勤がある施設では、夜勤回数によって毎月の給与が大きく変わります。

たとえば、

夜勤1回5,000円で月5回なら25,000円。

1回8,000円なら月5回で40,000円。

それだけで月15,000円の差になります。

年間で考えれば18万円です。

だから、

「基本給はいくら?」

だけでなく、

「夜勤は月何回くらい?」
「夜勤手当はいくら?」

まで確認して初めて、実際の給与が見えてきます。

ここは求人票を見るときに、ぜひチェックしてほしいポイントです。

※夜勤手当の金額例は、今回の介護労働実態調査から示した平均値ではなく、給与の見方を説明するための例です。


資格を取れば、本当に給料は上がる?

これも転職相談でよく聞かれます。

特に、

「介護福祉士を取る意味ってありますか?」

という質問です。

私は、

長く介護業界で働くのであれば、介護福祉士はぜひ目指してほしい

と思っています。

もちろん資格を取った瞬間に給料が大幅アップするとは限りません。

でも、介護福祉士資格があることで、

資格手当が付く。

基本給のテーブルが変わる。

応募できる求人が増える。

サービス提供責任者など、次の仕事につながる可能性がある。

そして転職時にも評価されやすくなる。

こうしたメリットがあります。

私も求人をご案内するとき、

「介護福祉士を持っているかどうか」

で選択肢が変わる場面は実際にあります。

給与だけではなく、これから先のキャリアを考える意味でも大きい資格だと思っています。


「介護職の給料は安い」と一言で片付けたくない

さて、今回のタイトルは、

「介護職の給料は本当に安い?」

でした。

令和7年度の調査を見ると、月給者全体の通常月の平均月収は254,951円。

介護職員では242,884円。

そして給与水準は前年より上昇しています。

これだけを見れば、

「介護職の給料も上がってきている」

と言えます。

ただし私は、

「だから介護職の給料はもう十分ですね」

とも言えないと思っています。

介護の仕事には、利用者さんの命や生活を支える責任があります。

身体的な負担もあります。

認知症の方への対応、看取り、夜勤、家族対応など、精神的な負担を感じる場面もあります。

その仕事に対して、

「この給与なら納得できる」

と感じるかどうか。

そこは人によって違います。

だから「平均月収○万円」という数字だけで、介護職の給料が高い・安いを決めるのは難しいと私は思います。


転職するなら「月給」より「年収」で比較してみる

ここで私すずきから、転職を考えている方に一つおすすめがあります。

求人を比較するときは、

月給だけではなく「想定年収」で比較してみてください。

たとえば、

A施設は月給が少し高いけれど賞与が少ない。

B施設は月給が少し低いけれど賞与が多い。

さらに、

住宅手当がある。

扶養手当がある。

資格手当がある。

夜勤手当が高い。

退職金制度がある。

こうした違いまで考えると、

月給だけでは分からなかった差

が見えてきます。

そしてもう一つ。

前回の記事でもお伝えしましたが、

給料だけで職場を決めないこと。

給与が少し高くても、

休日が合わない。

通勤に時間がかかる。

希望する介護ができない。

職場の雰囲気が合わない。

となれば、結局また転職することになってしまうかもしれません。

逆に、

「給料は以前とほぼ同じだけど、残業が減った」

「休みが取りやすくなった」

「人間関係が良くなった」

ことで、転職して良かったと話してくださる方もいます。

給与も大事。働きやすさも大事。

結局は、そのバランスなんですよね。


求人票の「月給○万円」だけで判断しないでください

今回の記事で、私が一番伝えたいのはここかもしれません。

転職活動をするとき、

「今より月給が高いところ」

から探し始めるのは全然悪いことではありません。

むしろ転職する以上、条件アップを目指すのは当然だと思います。

ただ、その数字だけを見て応募する前に、

基本給はいくらなのか。
どんな手当が含まれているのか。
夜勤は何回想定なのか。
賞与はどうなのか。
年間休日は何日なのか。
残業はどの程度なのか。

ここまで確認してみてください。

求人票を見ただけでは分からなければ、面接で確認してもいいです。

私たちのような紹介会社を利用するのであれば、担当者に確認してもらう方法もあります。

せっかく転職するのであれば、

「思っていた給与と違った」

というミスマッチは、できるだけ減らしたいですからね。


次回は「それでも介護職は働きがいのある仕事なのか?」

今回は令和7年度「介護労働実態調査」をもとに、介護職の給与について見てきました。

給与は少しずつ上昇しています。

一方で、第1回で紹介したように、人手不足を感じている介護事業所は依然として多い。

第2回では、人間関係が退職理由のトップになっていました。

ここまで読むと、

「じゃあ介護職って、やっぱり大変な仕事なんじゃない?」

と思うかもしれません。

ところが今回の調査には、ちょっと興味深い結果もあります。

介護労働者全体では、

「働きやすい」67.5%

「働きがいがある」63.2%

と回答しています。

さらに職種や働く場所によって、この数字には違いがあります。

「大変」というイメージが強い介護の仕事ですが、実際に働いている人たちはどう感じているのでしょうか。

次回、

第4回|それでも介護職は「働きやすい・やりがいのある仕事」なのか?

では、この部分を私すずきの現場経験も交えながら掘り下げてみたいと思います。


※本記事の調査数値は、公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和7年度 介護労働実態調査 結果の概要」をもとにしています。給与は雇用形態・職種・資格・勤続年数・地域・勤務形態等によって異なるため、記事中の平均値は個別の給与額を示すものではありません。

 

令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要(公益財団法人介護労働安定センター)

お役立ち情報一覧へ戻る