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2026-08-19

第2回|介護職はなぜ辞める?「給料」より多かった退職理由とは

第2回|介護職はなぜ辞める?「給料」より多かった退職理由とは

こんにちは。
医療・福祉のお仕事相談所のすずきです。

前回は、令和7年度「介護労働実態調査」をもとに、

「介護業界は本当に人手不足なのか?」

について見てきました。

介護事業所の65.8%が従業員の不足を感じているという結果からも、介護業界の人材不足は、単なるイメージではなく実際に数字にも表れていることが分かりました。

では今回は、もう一歩踏み込んでみたいと思います。

人手不足を考えるうえで避けて通れないのが、

「なぜ介護職は辞めるのか?」

という問題です。

介護職の退職理由と聞くと、

「やっぱり給料が安いからじゃない?」
「仕事が大変だからでしょ?」

と思う方も多いかもしれません。

私も介護・福祉業界を中心に10年以上、人材紹介や派遣のお仕事をしてきました。

これまで本当にたくさんの退職理由を聞いてきましたが、実際に求職者さんとお話ししていると、給料だけが理由ではないんですよね。

今回の調査結果を見ると、それがかなりはっきりと数字に表れていました。


介護の仕事を辞めた理由、第1位は「人間関係」

令和7年度「介護労働実態調査」では、直前の仕事が介護関係だった人に、その仕事を辞めた理由を聞いています。

その結果、最も多かったのが、

「職場の人間関係に問題があったため」27.3%

でした。

続いて、

「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため」21.0%

「他に良い仕事・職場があったため」17.2%

となっています。

そして「収入が少なかったため」は15.7%でした。

つまり今回の調査では、

「給料が安い」よりも「人間関係」を理由に辞めた人の方が多かった

ということです。

もちろん複数回答の調査ですから、

「人間関係も嫌だったし、給料にも不満があった」

という人もいるでしょう。

ですから単純に「給料は関係ない」と言うつもりはありません。

ただ、私がこの結果を見て感じたのは、

「やっぱり、そこなんだよなぁ……」

ということでした。


私すずきが転職相談を受けていても、本当に多いです

これは調査結果とは別に、私自身が日々転職相談を受けていて感じていることです。

「転職したいんです」

という相談をいただいて、

「どうして今の職場を辞めたいんですか?」

とお話を聞いていくと、

「給料がもう少し高ければ……」

という方も、もちろんいます。

でも、それ以上に印象に残るのが、

「主任と合わなくて……」

「管理者に相談しても何も変わらなくて……」

「職員同士の雰囲気が悪くて……」

「特定の職員からきつく言われるんです」

「新人に対する当たりが強いんです」

といった話です。

そして難しいのが、

人間関係って求人票を見ても分からないんですよね。

月給は書いてあります。

年間休日も書いてあります。

勤務時間も書いてあります。

賞与も書いてあります。

でも、

「この職場は人間関係が良いです」

なんて求人票に書いてあっても、それが本当に自分にとって良い職場なのかは、入ってみないと分からない部分があります。

ここが介護職の転職の難しいところの一つだと思っています。


「人間関係」の中身を見ると、さらに考えさせられます

今回の調査は、ここからもう一歩踏み込んでいます。

「職場の人間関係に問題があったため」と回答した人に対して、

具体的に何が問題だったのか

まで聞いているんです。

最も多かったのが、

「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」45.8%

でした。

続いて、

「仕事の進め方に関する上司や同僚との意思疎通がうまくいかなかった」38.0%

「上司の業務指示が不明確、リーダーシップがなかった」37.4%

となっています。

私はここ、かなり重要だと思っています。

単純に、

「職員同士の好き嫌い」

だけではないんですよね。

上司や先輩からの指導、業務指示、コミュニケーションなど、職場のマネジメントそのものが退職につながっているケースも少なくないことが、この数字から見えてきます。


介護現場は「教え方」が難しい仕事でもある

私自身も介護職として現場で働いていましたので、この辺りは少し複雑なところだと思っています。

介護は利用者さんの命や安全に関わる仕事です。

移乗の仕方ひとつ。

食事介助ひとつ。

服薬確認ひとつ。

間違えれば事故につながる可能性があります。

だから先輩職員が新人さんに、

「そこはちゃんと確認して!」

「そのやり方じゃ危ないよ!」

と強く言わなければならない場面もあると思います。

何でも優しく言えばいいという話でもありません。

ただし、

「安全のために厳しく指導すること」と「相手を傷つけるような言い方をすること」は別物です。

ここは分けて考える必要があります。

昔から介護現場にいる方の中には、

「私たちの頃は見て覚えた」

「そんなことまで教えてもらわなかった」

という感覚を持っている方もいるかもしれません。

でも、それをそのまま次の世代に求め続けてしまえば、人が定着しない職場になってしまう可能性があります。


「事業理念や運営への不満」が21.0%なのも見逃せない

私がもう一つ注目したのが、退職理由の第2位です。

「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため」21.0%。

これもかなり高い数字です。

しかも調査では、その不満の具体的な中身まで聞いています。

上位は、

「介護の質の向上の手法・方向性が自分の考え方とは異なっていた」34.2%

「介護の質の向上の取り組みに対して職員の体制や処遇が追いつかなかった」33.9%

「介護の質の向上をさせる姿勢がなかった」33.3%

でした。

これも転職相談をしていると、なんとなく分かります。

たとえば、

「もっと利用者さんと関わりたいのに、業務を回すだけで精いっぱい」

「人が足りないのに、どんどん仕事だけ増えていく」

「現場から意見を出しても何も変わらない」

こういった不満です。

もちろん施設側にも事情があります。

限られた人員で運営しなければならない。

制度上やらなければならない業務もある。

すべての職員の希望を聞くこともできません。

だから、

職員が悪い、施設が悪い

という単純な話ではないと私は思っています。

ただ、施設が目指している介護と、自分がやりたい介護が大きく違っていれば、長く働き続けるのは難しくなります。


人間関係が理由なら「転職しない方がいい」は違うと思う

転職相談をしていると、

「人間関係が理由で辞めるのって、逃げですか?」

というような相談を受けることがあります。

私はそうは思いません。

もちろん、

「ちょっと注意されたから辞める」

「気に入らない人が一人いるから、すぐ辞める」

という転職を何度も繰り返してしまうのであれば、一度立ち止まって考える必要はあると思います。

どこの職場に行っても、人と人が一緒に働く以上、多少の相性はありますからね。

でも、

毎日のようにきつい言動を受けている。

相談しても改善されない。

職場に行くこと自体がつらくなっている。

そんな状態でも、

「介護職なんだから我慢しなさい」

というのは違うと思っています。

今回の調査でも、人間関係を理由に介護関係の仕事を辞めた人は27.3%いるわけです。

決して珍しい退職理由ではありません。


ただし「人間関係の良い職場を紹介してください」は難しい

ここで転職支援をしている側として、一つお伝えしておきたいことがあります。

求職者さんから、

「人間関係の良い施設を紹介してください」

と言われることがあります。

気持ちはすごく分かります。

でも、私はここを簡単に、

「この施設は人間関係いいですよ!」

とは言わないようにしています。

なぜなら、人間関係には相性があるからです。

ある人にとっては、

「しっかり指導してくれる良い主任」

でも、

別の人にとっては、

「細かくて厳しい主任」

かもしれません。

逆に、

「自由にやらせてくれる上司」

を、

「何も教えてくれない上司」

と感じる人もいます。

だから大切なのは、

「人間関係が良い施設」を探すことだけではなく、「自分に合いそうな職場」を探すこと

だと私は思っています。


面接や見学で「職場の空気」を見てほしい

そこで私が転職を考えている方におすすめしたいのが、職場見学を大切にすることです。

もちろん短時間の見学ですべてが分かるわけではありません。

それでも、

職員同士が挨拶をしているか。

利用者さんへの声掛けはどうか。

管理者と職員が普通に話しているか。

職員の表情はどうか。

見学者に対する職員の対応はどうか。

こういった部分から感じ取れるものはあります。

そして面接では、給与や休日だけでなく、

「入職後はどのように仕事を教えていただけますか?」

「分からないことがあった場合、どなたに相談する形になりますか?」

などを聞いてみてもいいと思います。

人間関係そのものを直接確認することは難しくても、新人を受け入れる体制や職場の考え方はある程度確認できます。


実は「今の職場の人間関係」に満足している人も多い

ここまで読むと、

「やっぱり介護業界って人間関係が悪いんだ……」

と思ってしまうかもしれません。

でも、これは今回の調査の読み方として注意したいところです。

別の設問で現在の仕事の満足度を見ると、「職場の人間関係」の満足度+38.2ポイント

調査項目の中でも高いプラスになっています。

つまり、

「介護業界はどこも人間関係が悪い」

という話ではありません。

むしろ私としては、

合わない職場では退職の大きな原因になる一方、自分に合う職場では人間関係が働き続ける理由にもなり得る

ということだと思っています。

だからこそ、職場選びが大切なんです。


給料は大事。でも「給料だけ」で転職先を選ばないでほしい

今回の調査で、介護関係の仕事を辞めた理由として最も多かったのは、

職場の人間関係に問題があったため 27.3%

でした。

一方、

収入が少なかったため 15.7%

です。

もちろん給料は大切です。

生活がありますから、私は「やりがいがあれば給料なんて関係ない」とは全く思いません。

むしろ転職するなら、給与条件はしっかり確認してほしいと思っています。

ただ、

月給が5,000円高い。

時給が50円高い。

それだけで転職先を決めてしまうのも、少し待ってほしい。

勤務時間、休日、人員体制、仕事内容、教育体制、上司との相性、職場の雰囲気。

こうした条件も含めて、

「自分がここで長く働けそうか?」

を考えてみてください。

求人票の数字だけでは分からない部分まで確認する。

それが、転職後のミスマッチを減らすためにとても大切だと私は思っています。


次回は「介護職の給料」を見てみます

さて、第2回では、

「介護職はなぜ辞めるのか?」

について見てきました。

今回の調査では、給料よりも人間関係が退職理由として多い結果になっていました。

とはいえ……

やっぱり気になりますよね。

「じゃあ実際、介護職の給料って今いくらなの?」

令和7年度の調査では、月給で働く人の通常月の平均月収は254,951円

前年度より2.4%増加しています。

さらに平均月収は6年連続で増加しています。

「介護職は給料が安い」と昔から言われますが、本当に今もそうなのでしょうか。

次回、

第3回|介護職の給料は本当に安い?最新調査から見る給与・賞与のリアル

では、最新データを見ながら、私すずきの目線も交えて介護職のお金事情を考えてみたいと思います。


※本記事の数値は、公益財団法人介護労働安定センターが2026年7月29日に公表した「令和7年度 介護労働実態調査 結果の概要」をもとにしています。なお、退職理由は複数回答です。

 

令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要(公益財団法人介護労働安定センター)

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